2025年9月30日
【小さなけがの大切さ】
日々の保育の中で、子どもたちは元気いっぱいに身体を動かし、友達と関わりながら多くの経験を積んでいます。その過程で、ときには転んで擦り傷をつくったり、ちょっとした打撲をしたりすることもあります。保護者の皆さまにとっては「大丈夫かな」と心配になる瞬間かもしれません。しかし私たちは、その「小さなけが」こそが子どもにとって大切な学びの種になると考えています。

「子どもには怪我をする権利がある」と言われることがあります。大きな事故や重大な怪我はもちろん避けなければなりませんが、日常生活の中での小さな失敗やけがは、子どもが自ら「どうすれば安全にできるか」を考える貴重な機会となります。例えば、走って転んだ経験から「次は少しスピードを落としてみよう」と学び、友達とぶつかった経験から「相手との距離の取り方」に気づくことができます。
危険を完全に取り除いた環境では、子どもは一見安心して遊べるように見えます。しかしその一方で、「危険を回避する力」を育むことはできません。大切なのは、多少の失敗を繰り返しながら、子ども自身が「ここまでならできる」「こうしたら危ない」という判断力を養っていくことです。まさに「危険を回避する力は失敗(原体験)を通して身に着く」のです。

大人にとっては、転ばないように先回りして手を差し伸べたり、「やめなさい」と止めたくなる場面も多いでしょう。しかし、その瞬間に子どもが得られるはずだった学びが失われてしまうこともあります。大人の役割は、危険そのものをすべて取り除くことではなく、「大きなけがにつながらない環境を整えつつ、小さなけがを通じて学べる機会を保障すること」だと考えています。
もちろん、子どもにけがが生じた際には、私たちも迅速に手当てを行い、安全面の見直しを重ねていきます。ただし同時に、その経験が子どもにとって意味のある学びとなるよう、言葉をかけたり、一緒に原因を考えたりしながら次につなげていきます。
子どもは、失敗を通じて「できた!」という喜びに近づいていきます。そしてその積み重ねが、自信や挑戦する意欲を育てていきます。どうか保護者の皆さまにも、「小さなけがは子どもの成長の証」であると温かく受け止めていただければ幸いです。
私たちはこれからも、子どもたちが安心して挑戦し、失敗から学び、心も身体も大きく成長していけるように、日々の保育に努めてまいります。